【読書メモ】『Humankind 希望の歴史』ルトガー・ブレグマン著

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こんにちは、lizard.kです。
オミクロン株の収束が見通せない中、2月に入りました。周りにもかかったという人がちらほら出てきて、身近に迫っている感じです。春になる頃には減り始めているとよいのですが、、、

さて、先月最後に読んだのが『Humankind 希望の歴史 人類が善き未来をつくるための18章』ルトガー・ブレグマン 著、文藝春秋刊(2021/7/27)。上下巻の2分冊でしたが、非常に面白く苦労せずに読み終えました。

「ほとんどの人は本質的にかなり善良だ」というのが本書の主張で、その根拠や、なぜ我々はそう思えなくなっているかを前半で歴史から紐解いていきます。

ユヴァル・ノア・ハラリサピエンス全史や、ジャレド・ダイアモンド銃・病原菌・鉄などに近い感じですが、そこから導き出される結論はだいぶ異なります。

また、スタンフォード監獄実験のように、普通の人間が怪物に変わることを示す実験は、よく調べてみると虚偽であったり、信頼性の不足したものが多いこと。
メディアはセンセーショナルなことを選んで報じるので、それが実態以上に印象付けられてしまうことなどはハンス・ロスリングFACTFULNESSの主張と同じです。

後半では人間の善性に焦点を当てて、物事を進めるとどうなるかを幾つかの例を元に述べられています。フレデリック・ラルーティール組織や、デヴィッド グレーバーブルシット・ジョブとほぼ同じような感じです。

特に興味深かったのは以下の部分でした。

恥ずかしい時、顔を赤らめるというのは人間特有の性質で、本来謙虚な生き物なんだそうです。
ただ、権力を持つと弱さを見せることが自分にとって不都合になり、厚顔無恥になるとか。
権力は人間性を喪失させることがあるので、注意しなければならない。

戦闘で眼前の敵に引き金を引けるものは実は少ない。多くの戦争の犠牲者は爆撃や地雷など、遠くからの行われた攻撃によるものである。相手と距離があればあるほど、人間は冷酷になれる。

政治家や経営者など組織の支配者は、人間の本質が「悪」だと人々に信じさせる方がやりやすい。繰り返しそういったメッセージを発信して人々の意識を変えていく。

ウクライナ情勢がきな臭くなってきましたが、対立の根っこにあるものは同じなんじゃないかと。
身近な人に優しく、馴染のないものには冷酷だというのが人間本来の性質なので、幅広く交流して理解を深めること。信頼をベースに制度設計することが重要なんじゃないかなと感じました。

著者ルトガー・ブレグマン氏によるメッセージ:

 

 

 

前から気になっていた同著者による『隷属なき道』も読んでみたいです。

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