木村剛氏逮捕と『投資戦略の発想法』

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銀行法違反容疑で14日逮捕された、日本振興銀行前会長の木村剛氏による本です。9年前の発売当時に読んでかなり影響を受けました。

実はこの本、タイトルから受けるイメージよりも投資については保守的です。個人的に一番気に入っているのは「個人投資家の二つの基本エンジン」とは何かというところで、それは「仕事のパフォーマンス」と「節約」だとしています。ポートフォリオのリターンを最大化するためには仕事で成功することが一番重要で、資産運用は副業に過ぎないという投資のハウツー本にあるまじき展開にいたく共感したのでした。

改めて読んでみると、インベストメント理論の部分はエッセンスを分かりやすくまとめていますが、内容的には非常に浅いです。ご興味のある方は下記の本などをお読みになった方が確かです。

上の本はインベストメントとコーポレート・ファイナンスの両方を含んでいますが、同著者によるインベストメントの有名なテキストも新訳が出ています。高価でなかなか手が出せませんが(苦笑)

話を元に戻しますと、木村剛氏の『投資戦略の発想法』はその後何度も版を重ね、その度に肥大化していきました。とは言っても内容が充実したというよりは、初版で便利だった巻末のブックリストが削られる一方で氏の主義主張ばかりが膨らみ、まるで別の本になってしまったように感じていました。

逮捕の報道を聞き、改めてコンパクトだった頃の『投資戦略の発想法』を手に取ってみると、少し寂しい気分になってきます。初心を忘れずにいるというのは難しいことですね。

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