日経新聞の連載小説一覧(朝刊編)

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先月、日経朝夕刊の新聞小説が入れ替わり、新たな連載がスタートしました。
始まった頃は「前の連載の方が面白かったなぁ」とかブツブツ言いながら読んでいるんですが、最後の方になると読むのが生活の一部になっていて、終わってしまうのがとても寂しい。。。毎回、これの繰り返しなんですよね。

ビジネス書や専門書はまめにチェックして読む方ですが、小説となるとあまり最近は手に取らないので、毎日少しずつ読める新聞小説は自分に合っている気がします。

こんな風に新聞の連載小説を楽しみに読み始めたのは、講読紙を日経に変えた2005年から。
当時の朝刊に載っていたのが、かの有名な「愛ルケ」こと渡辺淳一『愛の流刑地』という刺激的な作品(笑)で、知らず知らずのうちに読んでいてハマったクチです。

それから8年以上経ちますので、記憶があるうちにこれまで読んだ作品をまとめてみました。

まずは【朝刊編】です(【夕刊編】はこちら)。
少し前に 安部龍太郎 『等伯』が直木賞を取って話題になりましたが、この他に北方謙三 『望郷の道』辻原登 『韃靼の馬』なんかも面白かったなぁ。

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諸田玲子 『登山大名』

挿絵:安里英晴、連載期間:2024/2/1~
参考リンク: 新小説連載、諸田玲子「登山大名」2月1日から(日経)

連載小説をさらに楽しむ 「登山大名」副読本 - 日本経済新聞
諸田玲子氏による小説「登山大名」(画・安里英晴氏)が日本経済新聞で連載中です。主人公は江戸時代初期に豊後国(現在の大分県)岡藩の三代目藩主を務めた中川久清。くじゅう連山の大船山(たいせんざん)に度々登ったことから「入山公」と呼ばれます。幕府...

辻原登 『陥穽 陸奥宗光の青春』

挿絵:小杉小二郎、連載期間:2023/3/1~2024/1/31
参考リンク: (お知らせ)新しい連載小説「陥穽 陸奥宗光の青春」(日経)

連載小説をさらに楽しむ 「陥穽 陸奥宗光の青春」副読本 - 日本経済新聞
辻原登氏による小説「陥穽 陸奥宗光の青春」(画・小杉小二郎氏)が日本経済新聞朝刊で連載中です。主人公の陸奥宗光は明治期に活躍した外交官で、英国など欧米列強との不平等条約改正にまい進しました。のちに「日本外交の父」とも称されます。一方で若き日...

安部龍太郎 『ふりさけ見れば』

挿絵:西のぼる、連載期間:2021/7/23~2023/2/28
参考リンク: 新しい連載小説(日経)

連載小説がもっと楽しく 「ふりさけ見れば」 副読本 - 日本経済新聞
朝刊で連載中の安部龍太郎氏による小説「ふりさけ見れば」。主人公は遣唐使として中国に渡り、唐の皇帝玄宗(げんそう)に取り立てられ、異国で出世を遂げた阿倍仲麻呂(あべのなかまろ)です。国際人として活躍した彼の苦悩や葛藤は、グローバル社会に生きる...

遣唐使は日本の朝廷からどのような命を受けて派遣され、中国で何をしていたのか――
2012年の直木賞受賞作『等伯』に続く、安部龍太郎氏の日本経済新聞連載小説は、対外的に「国家」としての土台を築き上げた8世紀・奈良時代の日本を、ユーラシア大陸・東アジアの中に位置づけて描いたスケールの大きな作品。安部氏の新たな代表作といっても過言ではない。

日本とユーラシアを結びつけるのは、唐で科挙に合格し玄宗皇帝の側近にまで出世したたぐいまれなる日本人・阿倍仲麻呂、そして仲麻呂とともに唐に渡り当時の大唐帝国のすぐれた文化・政治制度を内政に移植した学者にして政治家の吉備真備。唐からは、玄宗皇帝と楊貴妃、安史の乱を起こした安禄山、大詩人の李白や杜甫など、日本でも多くの逸話が知られる人物が続々と登場する。ついに帰国できなかった阿倍仲麻呂が日本の朝廷から帯びていた重大な密命とははたして……

当時、吉備真備らが持ち込み移植した律令制度はその後いまに続く日本の法律の中に色濃く残る。日本の皇室の儀礼にもこの頃移植したものが少なからず存在し、鑑真和上の招聘による仏教の興隆など、「国家」としての土台はまさにこの頃に築かれたものである。チベット、新疆ウイグルなどとの中国の緊張関係は1300年前から連綿と存在していた。日本と中国の関係、日本と朝鮮半島の関係、中国と朝鮮半島の関係は古代から幾多の戦乱を経て、連綿と今に続くものである。歴史時代区分としては日本の古代を描いた小説ではあるが、ここが「東アジアの中の日本」の視座の原点かもしれない。

伊集院静 『ミチクサ先生』

挿絵:福山小夜、連載期間:2019/9/11~2020/2/20(休載)、2020/11/11(再開)~2021/7/22
参考リンク: 新しい連載小説「ミチクサ先生」(日経)
伊集院静氏の病気療養のため休載とのことです。漱石と子規の友情が描かれ盛り上がってきたところなので残念です。一日も早いご回復をお祈りしております。

朗報です!『ミチクサ先生』が11/11に再開とのこと。楽しみですね!
参考リンク: 伊集院静さんの連載小説「ミチクサ先生」11日に再開(日経)
ミチクサ先生 連載小説再開(日経)

『ミチクサ先生』、漱石が小説を書きだしてますます盛り上がってきました!
私も「吾輩は猫である」を読み直したくなって、Audible版の『夏目漱石名作集』を購入したらものすごくお得だったので、↓以下の投稿に詳しく書きました。
『ミチクサ先生』をお読みの方は、ぜひチェックしてみてください。
伊集院静『ミチクサ先生』の読者は、Audibleで『夏目漱石名作集』を聴くべき
こんにちは、lizard.kです。 最近の楽しみの一つは、日経新聞の朝刊に連載中の伊集院静氏の『ミチクサ先生』です。 主人公である夏目漱石の生い立ちから、正岡子規との友情が書かれたあたりで、作者が病気療養のため一時休載していましたが、昨年末...

ミチクサが多いほうが、人生は面白い!

てっぺんには裏から登ったって、足を滑らせたっていい。あちこちぶつかったほうが道は拓ける。

夏目家の「恥かきっ子」金之助は生まれてすぐに里子に出されたり、年老いた父親にガラクタ扱いされながらも、道楽者の祖父の影響で子供ながらに寄席や芝居小屋に入り浸る。学校では異例の飛び級で頭角をあらわし、心のおもむくままにミチクサをして学校を転々とするように。その才能に気付いた兄に英語を仕込まれ、東京大学予備門に一番で合格した金之助は、そこで生涯の友となる正岡子規と運命の出逢いを果たす――。

伊集院静がずっと共鳴し、いつか書きたかった夏目“漱石”金之助の青春

「日経新聞」大人気連載、待望の書籍化!

皆が読みたい小説を書いてほしいんです!

「こんなに美しい富士山と海を、どんな文章でお書きになるのか、読んでみとうございます」鏡子の言葉は、金之助の胸の奥を揺り動かした。

英語教師として松山で子規と過ごした金之助は、次に赴任した熊本では鏡子を迎えて新婚生活が始まる。英国に留学している間に子規は亡くなり、帰国すると帝国大学の教師に。高浜虚子から子規ゆかりの句誌「ホトトギス」に小説を書いてほしいと頼まれ、初めて書いた小説「吾輩は猫である」が大評判に。やがて東京朝日新聞の社員として連載した数々の小説で国民作家となり、後進の文学者たちにも多大な影響を与える――。

処女作「吾輩は猫である」がいきなり評判となり、「坊っちゃん」で国民作家に。

『機関車先生』『いねむり先生』に続く「先生」シリーズ第三弾!

赤神諒 『太陽の門』

挿絵:安藤巨樹、連載期間:2020/2/21~2020/11/10
参考リンク: 連載小説 赤神諒「太陽の門」2月21日スタート(日経)

スペイン内戦で立ち上がった市民と共に銃を取った元米国軍人は、戦渦で運命の恋におちた。君の瞳に乾杯。日経朝刊連載が早くも書籍化!

★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
【Amazon.co.jp 限定】【期間限定 購入者特典】
本商品を2021/6/30(水)23: 59までにご購入いただくと、「著者特別インタビュー動画」「著者特製・登場人物関係図(PDF))」の特典が受けられます。
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

池澤夏樹 『ワカタケル』

挿絵:鴻池朋子、連載期間:2018/9/3~2019/9/10
参考リンク: 新しい連載小説「ワカタケル」(日経)

豪族たちを従え、海の向こうもにらみ、大和からこの国を統べる。大悪天皇とも有徳天皇とも言われた21代大王(天皇)のパワフルな生涯!

林真理子 『愉楽にて』

挿絵:伊藤彰剛、連載期間:2017/9/6~2018/9/2
参考リンク: 新しい朝刊小説「愉楽にて」9月6日から(日経)

シンガポールと日本を舞台に、生来のエスタブリッシュメントが重ねていく大人の情事。優雅で匂い立つ官能美に満ちた傑作長編!

伊集院静 『琥珀の夢――小説、鳥井信治郎と末裔』

挿絵:福山小夜、連載期間:2016/7/1~2017/9/5
参考リンク: 新しい連載小説 伊集院静氏「琥珀の夢――小説、鳥井信治郎と末裔」(日経)
参考リンク: 単行本化した集英社の特集ページ

松下幸之助が商いの師として敬愛した男。
サントリー創業者・鳥井信治郎の戦い

<大阪船場、丁稚奉公編>
明治12年1月30日夜明け。大阪船場、薬問屋が並ぶ道修町に近い釣鐘町で一人の男児が産声を上げた。両替商、鳥井忠兵衛の次男信治郎、後に日本初の国産ウイスキーを作り、今や日本を代表する企業サントリーの創業者の誕生であった。次男坊の宿命で信治郎は13歳で薬種問屋小西儀助商店に丁稚奉公に入る。小西商店では薬以外にウイスキーも輸入して扱っていたが、儀助は国産の葡萄酒造りを考えていた。しかし当時の葡萄酒はアルコールに香料など様々なものを混ぜ合わせた合成酒。信治郎は夜毎、儀助と葡萄酒造りに励んだ――。

「やってみなはれ」の精神で洋酒に命を捧げた男。
サントリー創業者・鳥井信治郎の商魂

<ジャパニーズウイスキー編>
信治郎、二十歳の春、鳥井商店を開業。明治39年、屋号を寿屋洋酒店に変更、日々葡萄酒の味の研究に勤しむ中、赤玉ポートワインが完成する。ライバルは東京、神谷伝兵衛の蜂印葡萄酒。宣伝の重要性を知っていた信治郎は、新聞広告、赤玉楽劇座、ヌードポスターと攻勢に出た。国産ウイスキー造りは周囲からは猛反対にあっていた。そんな時、関東大震災が起きる。瓦礫と化した東京を見て、信治郎は誓う。「わてが日本をええ国にするんや。ウイスキーを作ってみせる」。竹鶴政孝を雇い、莫大な借金をして山崎蒸溜所を建設する――。

宮部みゆき 『迷いの旅籠』

挿絵:北村さゆり、連載期間:2015/6/1~2016/6/30
参考リンク: 本紙朝刊小説、6月1日から「迷いの旅籠」(日経)
単行本が出ました。連載時のタイトルだった「迷いの旅籠」の他、「食客ひだる神」、「三鬼」、「おくらさま」の四話が収録されています。

亡者が集う家や食いしん坊の守り神。不思議がいっぱい黒白の間へようこそ。
此度の語り手は山陰の小藩の元江戸家老。彼が山番士として送られた寒村で知った恐ろしい秘密とは!? せつなくて怖いお話が満載! おちかが聞き手をつとめる変わり百物語、「三島屋」シリーズ文庫最新刊!

知りませんでしたが、これってシリーズ物だったんですね!最初から読みたい方はこちらをどうぞ。
参考リンク: 「江戸怪談、バラエティー豊かに」 宮部みゆきさん 本紙連載小説が単行本化

久間十義 『禁断のスカルペル』

挿絵:板垣しゅん、連載期間:2014/7/10~2015/5/31
参考リンク: 本紙朝刊小説、7月10日から新連載 久間十義氏の「禁断のスカルペル」(日経)

皮肉な運命に翻弄されてきた女性医師が、東京からひとり流れ着いた港町で異端の医師と出会い、「医療とは何か」を突き詰めていくうちに、若い頃の罪の意識を払拭し、真に生きる理由を獲得する。迫真の医療小説!

諸田玲子 『波止場浪漫』

挿絵:横田美砂緒、連載期間:2013/4/18~2014/7/9
参考リンク: 本紙朝刊小説、4月18日から新連載 諸田玲子氏の「波止場浪漫」(日経)
清水の次郎長の娘の運命の恋!

稀代の侠客として名を馳せた次郎長。ご維新以降、旧幕、官軍入り乱れる清水で名士となった。その養女のけんの身も時代に翻弄される。

浅田次郎 『黒書院の六兵衛』

挿絵:宇野信哉、連載期間:2012/5/14~2013/4/17

江戸城明渡しの日が近づく中、
てこでも動かぬ旗本がひとり━━。

新政府への引き渡しが迫る中、いてはならぬ旧幕臣に右往左往する城中。
ましてや、西郷隆盛は、その旗本を腕ずく力ずくで引きずり出してはならぬという。
外は上野の彰義隊と官軍、欧米列強の軍勢が睨み合い、一触即発の危機。悶着など起こそうものなら、江戸は戦になる。この謎の旗本、いったい何者なのか―。

周囲の困惑をよそに居座りを続ける六兵衛。城中の誰もが遠ざけ、おそれ、追い出せない。
そんな最中、あれ? 六兵衛の姿が見えぬ!?
勝海舟、西郷隆盛をはじめ、大物たちも顔をだす、奇想天外な面白さ。
……現代のサラリーマンに通じる組織人の悲喜こもごもを、ユーモラスに描いた傑作。

天朝様が江戸城に玉体を運ばれる日が近づく。
が、六兵衛は、いまだ無言で居座り続けている……。
虎の間から、松の廊下の奥へ詰席を格上げしながら、居座るその姿は、実に威風堂々とし日の打ち所がない。
それは、まさに武士道の権化──。
だが、この先、どうなる、六兵衛!

浅田調に笑いながら読んでいると、いつの間にか、連れてこられた場所には、人としての義が立ち現れ、思わず背筋がのび、清涼な風が流れ込んでくる。
奇想天外な面白さの傑作です。

安部龍太郎 『等伯』

挿絵:西のぼる、連載期間:2011/1/22~2012/5/13
【第148回直木賞受賞作】
直木賞に「等伯」安部さんと23歳朝井さん(日経)

直木賞受賞作、待望の文庫化!

天下一の絵師をめざして京に上り、戦国の世でたび重なる悲劇に見舞われながらも、己の道を信じた長谷川等伯の一代記を描く傑作長編。

辻原登 『韃靼の馬』

挿絵:宇野亜喜良、連載期間:2009/11/1~2011/1/21
【第15回司馬遼太郎賞受賞作】

江戸中期。対馬藩士・阿比留克人は朝鮮通信使の警固を務める傍ら、幕府からある極秘任務を請け負う。日本、中国、モンゴル…。世界を股にかけて活躍した男たちを描く歴史巨編。第15回司馬遼太郎賞受賞作。

8代将軍徳川吉宗から、克人に下った命は、〈伝説の馬〉を手に入れることだった。財政困難に陥った対馬藩を救うためにも、一日千里を走る汗血馬を見つけることはできるのか。彼は僅かな手がかりをもとに、旅へ。

高樹のぶ子 『甘苦上海』

挿絵:佐藤泰生、連載期間:2008/9/30~2009/10/31

人生最後かもしれない、甘く苦しく激しい恋

上海でエステを経営する51歳の紅子のもとに一人の美しい男が現れる。欲望を肯定する街・上海を舞台に最後の激しい恋が幕を開ける。

北方謙三 『望郷の道』

挿絵:天明屋尚、連載期間:2007/8/6~2008/9/29

時は明治、日本経済の勃興期。佐賀と台湾を舞台に著者自らのルーツを辿りながら、日本人の物作りへの情熱を謳い上げた波瀾万丈の感動巨編。全ての北方作品は、この小説を書くためにあった!

堺屋太一 『世界を創った男 チンギス・ハン』

挿絵:大沼映夫、連載期間:2006/2/1~2007/8/5

13世紀、中国北辺からカスピ海東岸に至る「無敵無限の超大国」はいかにして生まれたか? 争乱を勝ち抜いた組織と情報、時代を超えた発想、常識にとらわれない行動。史上最強の征服者チンギス・ハンの生涯を描く。

トオリル・ハンと枢軸を組んで漠北の諸族を圧倒、旧友ジャムカの組織した大連合軍をも撃破したチンギス・ハン。「義父」トオリルにも罠を仕掛けて、ついに漠北の統一者となる。<中>は、息もつかせぬ大戦国絵巻。

三十年の辛苦の末に漠北の民を統一したチンギス・ハン。「人間に差別なし、地上に境界なし」の天下を目指し、西夏、金国、西遼、ホラズム王国へと、天尽き地果てるまでの征服が始まった。歴史巨編、ついに完結。

渡辺淳一 『愛の流刑地』

挿絵:小松久子、連載期間:2004/11/1~2006/1/31

かつて一世を風靡した作家・村尾菊治は、旅先で女性編集者から彼の大ファンという人妻・入江冬香を紹介される。そのしなやかな容姿と控えめな性格に魅了された菊治。二人は狂おしく逢瀬を重ね、惹かれ合うが、貪欲に性愛の頂きへ昇りつめる冬香に、菊治は次第に不安を覚える。男女のエロスの深淵に肉薄し話題騒然となった問題作。

「このまま、殺して…」。花火大会の夜、エクスタシーの頂点で冬香が発した言葉に誘われるまま、菊治は彼女の首を絞める。最愛の女を殺めた男。彼を待っていたのは、苛烈な取り調べと孤独な法廷闘争だった。故意か過失か、それとも愛の証しか。菊治が最後に受け入れた罪と罰とは?論理では測れぬエロスの深淵を問い詰めた文芸大作。感動の結末。

 

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