メリッツ(Melitz)モデルが載っている貿易理論のテキスト

スポンサーリンク
【2017-3-12追記】
またまた日経新聞の『やさしい経済学』のコーナーですが、田中鮎夢・中央大学准教授による『国際貿易論の新しい潮流』が全7回(2017年2月2日~2月10日)で連載されていました。メリッツによる新々貿易理論や、ストルパー=サミュエルソン定理などが分かりやすく紹介されています。少し前に書籍も出ているようなので、これから読むならこれが良さそうですね。
また、代表的な国際経済学の教科書である『クルーグマン国際経済学 理論と政策』の共著者に、マーク・メリッツが加わった【原書第10版】がついに翻訳されましたので、基礎から勉強したい方にはこちらもおすすめです。

2010年最後の日経『やさしい経済学』(2010年12月22日~12月31日)、神事直人・京都大学准教授による『企業の生産性と国際化戦略』の連載でメリッツ・モデルなるものを知りました。

リカード・モデル、ヘクシャー=オリーン・モデルといった古典的な貿易理論では説明できない産業内貿易を扱ったのがクルーグマンの新貿易理論。さらに輸出を行う企業がごく一部に限られ、輸出を行う企業とそうでない企業で大きく生産性が異なることを、固定費の存在から説明しようとしたのがメリッツ・モデルなんだそうです。

国内供給にかかる固定費よりも輸出の固定費の方が高いとすると、生産性の高い企業しか輸出の固定費を賄えないので、ある生産性の水準を境にして、輸出を行う企業と国内供給しか行わない企業に分かれるというわけです。

となると逆に企業が輸出を行うことを選択すれば生産性も上がるという学習効果もありそうですが、これに関してはまだ実証研究ではっきりと示されていなんだそうです。面白いですねー。
でも企業が輸出するという決心を固めたら、背水の陣のようなもので生産性の向上に躍起になるというのはありそうですよね。

そんなわけでもっと周辺を勉強したくなり、大きい本屋でメリッツ・モデルが載っている本を探してみることに。新貿易理論あたりまでは載っているテキストが結構あるのですが、メリッツ・モデルとなると下記の2冊くらいしか見つけられませんでした。他にもあるかもしれませんがご参考まで。

[2011/1/6追記]
コミュニケーションネットワークと国際貿易―貿易理論の新展開の方を買ってみました。
タイトルの通りインターネット等のコミュニケーションネットワークと国際貿易の関係が書かれた本ですが、分析のベースとなる新貿易理論の枠組みについてもページ数を割いて説明しています。

メリッツ・モデルは10章に登場しますが、元になった論文『独占的競争貿易理論の新展開』とほぼ同内容。2~3章に新貿易理論が簡潔にまとめられていますので、これらと合わせて勉強するには良さそうです。

コメント